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7月7日といえば...

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堀木訴訟最高裁大法廷判決が下された日ですよね!

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堀木訴訟は、全盲であり、かつ、離婚してシングルマザーとして子供を扶養していた堀木さんが、児童扶養手当の受給資格の認定を請求したところ、児童扶養手当と障害福祉年金を併せて受給することはできないという児童扶養手当法の規定があり、請求が却下されたことから、この規定は憲法25条にある生存権に保障や憲法14条にある法の下の平等などに違反するとして、国を相手どり提訴したものでした。

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最高裁は、「健康で文化的な最低限度の生活」が抽象的・相対的な概念であることなどから、「健康で文化的な最低限度の生活」をいかにして法律により実現するかは、立法府である国会の広い裁量にゆだねられているという考えを示し、国会の制定した法律が著しく合理性を欠き、明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合を除き、裁判所が審査判断するのに適しない事柄であるとして、結局、児童扶養手当法にある併給を禁止する規定は憲法に違反していないと判断しました。

 

実はこれ、説明するのが難しいところで、大学受験用の参考書や問題集では、最高裁がプログラム規定説の考え方を示した事件として紹介されています。プログラム規定説とは、憲法25条が保障する生存権は、法的効力があるものではなく、国の政治指針(努力目標)を定めたものに過ぎないとする考え方です。

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ところが最高裁はこの判決文の中で、法律が「著しく合理性を欠き、明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合」は、裁判所が審査判断することがありうるとも述べているわけです。とすると、まったくのプログラム規定というわけでもなさそうです。近年の研究では、法的効力を一切否定する純粋な意味でのプログラム規定説は採用されておらず、少なくとも客観的法規範としての法的効力は認められているという理解が有力です。

 

難しいですね。私は、判例は一応プログラム規定説を採用していると見うると言われているが、そうじゃない見方もありますよ、学説ではプログラム規定説より法的権利説のほうが有力ですよ、と教えています。受験戦略としては、問題文中に「努力目標」とか「努力規定」、「政策指針」とあれば「プログラム規定説」と答えられるようにしておきましょう。

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